「ガラスの天井」という表現を耳にしたことはありますが、その具体的な意味や背景について詳しく知る機会は少ないかもしれません。
近年、女性の社会進出が進む中でも、「ガラスの天井」が依然として存在しているとされます。
例えば、ヒラリー・クリントンやカマラ・ハリス氏が「ガラスの天井を破ることができなかった」と述べたことが報じられたことがあります。
この記事では、「ガラスの天井」の意味や由来、日本での具体例やガラスの天井指数について、明確に説明していきます。
「ガラスの天井」という表現の意味
「ガラスの天井」とは、優秀な実績や能力を持つ女性やマイノリティが昇進の機会に制約を受ける社会現象を指します。
この表現は英語の “glass ceiling” に由来しており、昇進を目指して努力しても、目に見えない壁に阻まれる状況を象徴しています。
「ガラスの天井」の起源について
「ガラスの天井」という概念は、1978年にアメリカの企業コンサルタントであるマリリン・ローデンによって初めて言及されたとされます。
この用語は、特にウォールストリート・ジャーナル紙が女性のキャリアアップに関する特集を掲載したことにより、一般に広まりました。
アメリカが実力主義を標榜する一方で、女性の管理職進出の低さや給与の不平等は依然として解決されていない問題として残っています。
ヒラリー・クリントンのガラスの天井に関する発言
2016年のアメリカ大統領選に民主党から出馬したヒラリー・クリントンは、選挙の演説で次のように述べました。
「私たちはまだ最も高く、最も頑丈なガラスの天井を打ち破ることはできていませんが、近い将来、誰かがそれを達成することを期待しています」と。
この発言により、ガラスの天井の問題が再び注目されることとなりました。
さらに、2024年の選挙でカマラ・ハリスが出馬した際、クリントンは自らと他の女性政治家の努力を振り返りながら、ハリスが米国初の女性大統領となる可能性に対して希望を示し、「私たちは共に大統領という最も高く頑丈なガラスの天井に多くのひびを入れました。
今夜、その壁を完全に破壊する一歩手前まで来ています」と語ったのでした。
最終的にはドナルド・トランプが勝利しましたが、再び女性が大統領選に挑むという事実自体、重要な進歩だと言えるでしょう。
日本における「ガラスの天井」の現状と事例
日本でも女性の管理職昇進やキャリアの形成は進んできていますが、男性と比較すると、妊娠や出産、育児などのライフイベントがキャリアの障害となっているケースが少なくありません。
さらに、重要なポジションに「女性である」という理由だけで任命されることに対し、逆の意味での差別と捉える意見も存在します。
女性が管理職に就任する数だけでなく、その質や実力も問われるべきだという声が多く挙がっています。
2024年には高市早苗氏が首相職に迫るなど、女性がトップリーダーとして評価される場面も見られました。
高市氏に対しては「女性」という属性を強調する報道は少なく、彼女自身も「ガラスの天井は存在しない」と言及している場面がありました。
しかし、ソーシャルメディア上では「ガラスの天井」に言及する投稿が2000件を超え、多くの人々が依然として障壁があると感じている実情もあります。
ガラスの天井指数(GCI)について
ガラスの天井指数(GCI:Glass Ceiling Index)は、OECD加盟国を含む29の先進国で、女性がどれほど公平に扱われているかを示す指標です。
この指数は、イギリスの経済週刊誌「エコノミスト」によって毎年3月に公表されます。
この指数は、経済、政治、教育、健康の4つのカテゴリーで算出され、0は完全な不平等、1は完全な平等を意味します。
日本の2024年の指数は0.663で、146カ国中118位と評価されています。
主な評価項目には、女性の管理職比率、男女間の賃金格差、育児休暇の取得率などが含まれ、これらは日本における主要な課題とされています。
ガラスの天井についてのまとめ
ガラスの天井は、性別などの理由で、実力があるにも関わらず昇進の機会が制限される状況を指す用語です。
特に、上位の管理職や重要なポジションへの昇進において、この傾向は依然として顕著です。
女性が家庭や地域社会、子どもの教育に関わる割合が高い中で、これが職場での機会に影響を与えています。
性別ではなく、実績や能力を基にして評価される社会を目指し、ガラスの天井を破る未来が到来することを願っています。